【友達と】30歳からの青春を謳歌した話【エッチ】 オナネタ専用エッチな体験談

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【友達と】30歳からの青春を謳歌した話【エッチ】


俺は現在社会人、まあもうオッサンだ
都内の片隅に住んでる
特に無趣味でただひたすら働いてきた

仕事はイベント事業なんかをやってる
最初は辛かったが慣れればそうでもなく
特に面白くもつまらなくもなく、続けてきた
毎日毎日、特に刺激もなくて淡々とこなすような日々を送ってたな

コミュ障ってわけでもないが
大学時代あまり友達もいなかったもんで休日はたいてい一人
孤男板なんかをチェックしつつ昼は写真撮りに行ったり
夜は一人で酒を飲むのが唯一の楽しみだったよ

もう2年前になるな

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ちょうど今くらいの桜が散りだした時期に
俺は多摩川に写真を撮りに行ったんだよ

休日でいい感じの陽気の多摩川
案の定人は多くて、大学生がバレーしてたりカップルがたくさんいたり

俺もいい気分で写真撮ってたけど、なんとなく落ち着かなかったな

橋の上を通る田園都市線が撮りたくなって
なんとなくぼーっと立って待ってたら、一人の爺さんに話しかけられた

「写真が好きなのかい?」
ハンチング帽をかぶった小柄な爺さんだった
笑うと線になるような優しい目で、すごく人のよさそうなオーラを出してた

俺「はい、写真をよく撮ってるんです。」
爺さん「この辺は景色がいいからね」

そんな感じで談笑してた
すごく暖かい感じがして、もう亡くなった田舎のじいちゃんのこと思い出した

爺さんと10分くらいその場で話したかな
初対面だったのにとても意気投合してた

俺が酒好きってのもあったからだろうなぁ
爺さんとはその場で日本酒の話とかで盛り上がった
俺が地方出身で色んな地酒飲んできたって言ったら凄い喜んだ

そんなこんなで話してるうちに、向こうから若い男女が寄ってきた
爺さんとはリラックスして話せていたが、若い人が来て俺は少し身構えた

爺さん「私の娘夫婦だよ」
と爺さんはニコニコして紹介した

娘夫婦「こんにちは〜」
俺「こんにちは」
思い切り愛想よく挨拶した

普段から一人でばかりいたから、こういう当たり前の幸せの中で生きてる人たちと
関わること自体なんだか不思議だった

とても不思議な時間だった
初対面だったのにとても馴れ馴れしく話しかけてくる爺さんと娘夫婦で、
でも全然嫌な感じはしなかった

その日、俺は爺さんの色んな話に付き合ったが
大学時代に少しだけやったことのある囲碁の話でとても盛り上がった

なんでも爺さんも含めその娘夫婦も囲碁をするらしい
今時、珍しい家庭だなと思ったよ

家族みんなで囲碁が好きで、よく碁会所に行くという話を聞いた
俺はそれがとても興味深くてその碁会所について色々と聞かせてもらった

大学時代はあまりに周りにやってる人がいなくて辞めていたから、
同じものを好きな人たちが集まる空間に興味があったんだ

その日は、それで別れた
特に連絡先を聞くわけでもない
たまたま出会って懇意になっただけだったし

ただ、よく行くという碁会所の場所だけは聞いておいた。
すごくワクワクしたなあの日は
家についたら久々に昔の詰碁の本とか出してきて
夢中になれるものが見つかるんじゃないか、ってワクワクがあった

俺は、次の休みの日にその碁会所にいくことにした
人生初の碁会所。
緊張するしどんな人がいるか分からなくてドキドキしたなw
雑居ビルの2階にある碁会所でさ
様子を伺うように中に入ったよ

まず、驚いたのは席料を払うことだね。
昔の50円ゲーセンの店長みたいな感じの席主に1000円払ってさ

「初めて?棋力はどのくらい?」
とか聞かれた
ほとんど初心者に近いし凄く焦ったよ

「ちょっと今日は見る感じで…」
みたいなこと言ってけっこうな広さのある店内を見回した

ほとんどオッサンかお年寄りしかいないのだけど
もっと殺伐とした雰囲気かと思ったらみんな楽しそうに打ってるんだよな

店内を見てると、驚いたことにあの爺さんがいた
俺は近くでそっと見てた

盤面を見た感じでは爺さんはなかなか上手い感じだった
少なくとも俺よりは遥かに上

対局中に話しかけるのも悪いし、とりあえず一局終わるまで待つことにした

とは言えやはり若い人は皆無の店内
ヒカルの碁が流行ったのも最早遠い昔のことだしな…

自分がいることにやや場違いな印象を感じた
ぼーっとしていると爺さんの対局が一段落したようなので、話しかけることにした

俺「あの…こんにちは、この前はどうも…」
爺さん「君はこの前の」

突然の若者の訪問に爺さんは凄い喜んでいるようだった

爺さん「まさか本当に来るとはね」
爺さんはニコニコして嬉しそうに話してくれた
俺もなんだかワクワクして、
「じゃあ一局打ちますか」っていう流れになった

棋力は、俺はアマ3級あるかないかくらいだった
爺さんはアマ3段くらいの強い人で、
とりあえず最初は2子置かせてもらって打った

2子置いただけではまったく歯が立たず、俺は普通に途中で手がなくなったw
すごい緊張したな

そのあとは石を3つくらい置いてほぼ指導碁のような状態でリラックスして打ったな
純粋に楽しかったよ
久々に打ったし、面白かった

その日俺と爺さんは友達になったんだと思う
歳の差なんて関係ないかもな、って生まれて初めて思った

冗談も通じる爺さんで、二人でめっちゃ談笑した
彼女いませんって言ったらなんかおちょくられた
「私が若い頃は悪いことたくさんして女を騙したもんだ」
とか言ってバカ笑いしてた

あと煙草の銘柄も一緒のやつ吸ってて、至る所で話が噛み合った

すごい不思議な気持ちになった
田舎のじいちゃんもばあちゃんも親父ももう居ない俺は
懐かしい気持ちで胸がいっぱいになった

その日はそのまま一緒に飲みに行こうと思った
俺「どっかこの辺で飲んできましょうよ」
爺さん「それなら私の家に来るといい」

どっか立ち飲み居酒屋にでも入ってマッタリ飲もうかと思ったら、
家に誘われた
なんでも娘と奥さんが美味しい夕飯を用意してるから帰りたいのだとか

流石に家にお呼ばれするのは申し訳ない、と思ったが
「遠慮はするもんじゃない」と言ってきかないので行くことにしたw

爺さん家の最寄り駅は俺の最寄りから電車で40分くらいのとこだった
近くもないが、案外遠くもないことに驚いた

電車に乗ってる間もひたすら談笑してた
ここまで話が合うとは思わなかった。
会社にたくさん上司はいるが、気に入られたためしがない

爺さんの家は閑静な住宅街って感じのとこにあって
とても綺麗な二階建ての一戸建て。

俺は案内されるがままについていった
行くと、娘夫妻に出迎えられた

爺さんの奥さんもいたが初対面だったので、なんだか恥ずかしい空気になったぜw

どうやら爺さん夫妻と娘さん夫妻の
4人暮らしのようで
今時こんな形態の家族もいるんだなあって思った

爺さんの奥さんに
「これはこれは若々しいお客さんね」
って笑われながら言われたのを覚えてるぜ

台所で娘さんと奥さんが晩ご飯の準備をしていたので、
旦那さんと爺さんと俺の男衆はリビングでテレビを見てくつろいでた

これがまた旦那さんもいい人で3人で談笑してた
旦那さんとは異様に音楽の趣味があってそこで大いに盛り上がる
それに爺さんは笑って相槌をうってた

そんなこんなで「晩酌しましょっか」って流れになって
とりあえず台所横のテーブルに3人で座って
酒を飲み交わすことに
俺と旦那さんはビールだったと思うんだけど
爺さんはオサレで蜂蜜ハイボールなんかを飲んでいた気がする

見たこともない大きなトロのブロック?を爺さんがその場で切り分けて
俺に振る舞ってくれた
ほんと美味しくてビックリした

ほんと久々に誰かと一緒に酒を飲んで
本当に楽しくて美味かった

話も盛り上がって面白いし、酒はすすむすすむ
5年ぶりくらいにこんな美味い酒飲んだなあって思った

いい感じに酒を交わしていると爺さんの奥さんが
「今晩は中華なんですよ」
と言って麻婆豆腐やらエビチリを運んできてくれた

目の前に並ぶ家庭的な料理の数々
多分俺小学生みたいに目を輝かせてたと思う

ワイワイみんなで笑いながら食卓をかこむ
おいしい料理があって、酒があって、

何年も東京で一人で働いてた俺にとってはこれが本当に嬉しかった
涙が出そうになるくらい素敵な時間だったと思う

なにより奥さんに「おかわりいる?」
って笑顔で聞かれた時はマジで泣きそうになった
もう何年もそんなこと言われたことなかった
いろんなこと思い出したよ

晩ゴハンが終わったあと俺は気を使って食器洗いに勤しんだ
さすがにタダ飯なんて悪すぎると思った

俺はポロッと
「みんなで食べると食器の量が多いっすね〜w」って言ってしまった
すると奥さんが
「寂しかったらいつでも来ていいのよ」
みたいなこと言ってくれた 何か見透かされたのかねw

ひと通り片付くと、
みんなでリビングでお酒飲みつつまったり
俺と爺さんは大好きな日本酒でマッタリと。
旦那さんや女性陣はワインなんかを飲んでいた

そして話は囲碁トークに。
話を聞いていると、みんな俺より棋力が高そうでびっくりした

それにしても家族みんなで囲碁が好きなんて面白いなあって俺は関心してた

その後はみんなでマッタリ話しながら
爺さんがアコギを持ってきて音を奏で始めた
リビングにはピアノもあって、娘がピアノを弾き始めた

目の前に広がるあまりの「古き良き家庭」っぷりに
俺は驚きと、憧れと、とても不思議な気持ちだった

とても楽しそうに無邪気に、爺さんはギターを鳴らす
それを肴に楽しそうに酒を飲む旦那さんに奥さん

爺さんはチューリップやフォー・セインツと言った往年のミュージシャンの曲を好んで弾いた
みんな酒の影響もあって出来上がっていた

その時聴いた曲で俺も唯一よく知っているのは「青春の影」だけだった
みんなと一緒になって歌った
懐かしい気持ちと無邪気な気持ちでいっぱいだった

笑顔と懐かしい音楽で場が満ちていった
人生30年余を生きてきたが、こんな家族には初めて出会った
暖かくて、幸せそのもののように思えた

今まで所帯を持つことに否定的だった俺も、この時ばかりは家族っていいものだと思った
その日は遅くまで爺さんの家にいた
忘れられない一日だったな、今となっては
終電に乗るためにみんなに凄い急かされたっけ

俺飲み過ぎてフラフラになっちゃってさw

俺はそれから、毎週とは言えないが
頻繁に碁会所に顔を出すようになった
仕事の状況によっては平日の夜も顔を出した

職場と家の往復だった毎日に、なんとなくだけど
ハリと楽しみができた気がした
「次はいつ碁会所に行こうか」
そう思える好きな事ができたことが何より嬉しかった

碁会所に通っている内に、
爺さんは決まって端のテーブルを確保して待ってくれているようになった
灰皿と煙草を準備していて、俺が着くとニコニコしながら
「コーヒー飲むかい?」って言ってコップを持ってきてくれた

完全に友達のような感覚だった
俺も爺さんが迎えてくれるのが嬉しくて
碁会所に通うのが楽しくなった

週末や休日には旦那さんや娘さんがいることもあって
他のお客さん含めみんなで囲碁に打ち込んだ

週末や休日の日には、
碁会所からそのまま爺さんに連れて行かれて
爺さんの家に行くのが恒例になっていた

「どうせろくな物食べてないんだろ?」
爺さんは決まってそう言って俺を連れて行ってくれた

碁会所に行かず、じかに爺さんの家に呼ばれて碁を打つこともあった
そうすると爺さんより奥さんが俺と打ちたがって、
爺さんは隣でNHKの囲碁トーナメントを見てる、といった感じだったw

たびたび訪れる俺を煙たがるどころか、
いつも本当に楽しそうに迎えてくれる家族だった
まるで俺をもてなすことを楽しんでいるかのような

爺さんの家は本当に楽しくて大好きだったな
そんなこんなしてるうちに、あっという間に夏になったんだよな
出会ったのが春だったから、本当にあっという間に感じた

夏になると、通っている碁会所で旅行が企画されている話を耳にした
なんでも毎年行ってるものらしく
碁会所のお客さんを集めてみんなで伊豆に行き
そこで観光したり囲碁を打ったりマッタリ楽しむものということだった

俺は吉本ばななの「TUGUMI」を読んでから
一度は伊豆に行ってみたいと思ってたので、行こうかと考えていた
でもきっと周りは年齢層も違うし、悩んだな

でも通ってみて気づいたが
碁会所には案外若い人も多かった
同年代のリーマンから大学生の子まで

マスターさんの娘さんたち(大学生と高校生)もいて
そこまで閉鎖的なコミュニティでもなかった

爺さんの一家も伊豆旅行に行くというので
俺はそれにあわせて仕事の予定を調整した
何かのために休みを調整するなんて、もう何年もないことだったし
すげえウキウキしたなw

前日は久々に修学旅行に行くようなテンションだった
社員旅行に行っても荷物持ちで
上司の相手をするのにウンザリするのに

どうしてかこの旅行はとても楽しみだった
同じものを好きな人が集まっているからかな

こんな気持ちになることは二度とないと思ってたもんな
大学時代に行った夏祭りが最後の夏だと思ってたし
何歳になっても夏は来るんだなあって感じてた

バスに乗って、俺はカメラを首から下げてワクワクしてた
隣には旦那さんが座った

奥さんと娘さんと爺さんもいて
マスターの子どもさんたちもいたし、案外学生の人も多そうだった
とはいえお年寄りはやっぱ多くて
車内は和やかながらもなんとも言えない雰囲気だったw

何時間か車に乗ると海沿いの道に出て、旅行って気がしてきた
いい感じの旅館(民宿?)に着くと、学生に混ざって俺は率先して荷物持ちになった

やっぱりお年寄りが多いしこういうとこで若いもんが頑張らないとなw
部屋は、奥さんと爺さん 旦那さんと娘さんが一緒で
俺は碁会所で顔見知り程度だった大学生の男の子と一緒になった

あまり知らない若い人と一緒って少し身構えたけど
旅行のテンションもあったしその時はあまり気にならなかったな

午後からはしばらく各自自由な時間になり
俺は大学生君と海に行くことにした

爺さんたちはと言うと、宿でマッタリしたいとのことだったw
やはり長距離移動はなかなか体力をもってかれるからな

俺は柄にもなくテンションが上がってて、はしゃいで大学生を海に引き連れた
クソ暑くて、泳ぐでもなくカメラを抱えて裸足で浜をフラフラした

俺は色々と思う所があって、大学生に色々とはなしかけた

俺「ここTUGUMIの舞台なんだよね。知ってる?」
大学生君「あ、知ってますw俺もあれめっちゃ好きなんすw」

この大学生、妙に話が合う子で一緒にいて面白かった
まだ若いのにしっかりしてて気が利く人で
偉そうで申し訳ないけど、よくできたヤツだなあ〜って思ってた

そのあと、宿に戻ると夕飯まで対局タイムとなった
広間みたいなとこ借りて、板碁盤を何枚も広げる
ますます修学旅行っぽさが増した

大の大人たちが畳に板碁盤ひろげて笑いながら碁を打ってんだ
見てるだけウキウキして恥ずかしい気持ちになってくるw

俺は色んな人と打った
大学生君、見知らぬじいちゃん、マスターの娘さん…
みんな一様に囲碁が好きで
打った後の検討とか楽しかったなあ

俺はカメラ係の役も担っていて
旅行後に写真を編集してDVD作ったりしようと考えてたから
みんなのいい表情を捉えるのにも必死だった

だからこそだろうな、今でもあの楽しい雰囲気をよく覚えてるよ
爺ちゃん同士が談笑してたり、若い女の子と婆ちゃんが楽しそうに打ってたり

俺は色んな瞬間をカメラに収めようとしてた
まあ、もともと写真が好きだったしなw

その後は皆で大浴場に風呂へ
俺は爺さんの背中を流してあげた

何年ぶりだったろうな、人の背中を流すなんて
その背中がすごく大きなものに感じたよ
色々寂しい気持ちにもなった

そのあとは夕飯。
何を食べたかもう良く覚えてないんだけどw
とても美味い酒と飯を食べたってことは記憶してるw

夕飯からそのまま宴会場みたいなとこで
皆で酒を囲んでワイワイやってた
俺は爺さんや旦那さん、大学生君と一緒に飲んでた
日本酒を次から次へと口に運んで
俺はすっかり出きあがってたw

爺さんとフォークソングについて熱く語った
9時を過ぎた辺りから宴会場からも人が減り
俺たちもそろそろ部屋戻ろっかーって雰囲気になった

でもこの日の夜はここからが長かったな

部屋に戻ると、大学生君が勢い良く話しかけてきた

「力を貸してくれませんか…?」
一体なんのことだ?と思った
よくよく話を聞いてみると、この大学生君
マスターの娘さんに想いを寄せているんだそうなw

すっげえ面白くてむず痒くて、俺は一気にテンションが上がった
「マジか!?」なんつって声を上げて
俺も一気に若返った気がしたw

なんとなくテンションが上がっていたたまれなくなった俺達は
とりあえず宿の外にでて散歩でもするかってことになった

「飲み足りないね〜」なんつって、コンビニへ
缶ビールを飲みながら歩いて宿に戻りながらも俺らのテンションは変だったw

「確かにな〜いい子だもんな〜」
なんて俺がニヤニヤしながら突っ込むと
大学生君は恥ずかしそうに
「そなんす…もうすごい好きで…」
みたいに嬉しそうに言ってた

全てが瑞々しくて羨ましいなあと思った

宿に戻ると、玄関脇でじいさんが一人でパイプをふかしてた

「お、夜遊びかい?若者たちよ」
なんて言われた
俺は面白くなって事のいきさつを爺さんに話した

すると爺さんは嬉しそうに笑って
「そういうことか、頑張れよ〜」と楽しそうに言った
爺さんも愛嬌に溢れていて
「これからあの娘の部屋に行こうか」なんて言い出したw

すると大学生君は全力で拒んで、「明日!明日!」
って必死になってたなw

その後は三人で外で星を見ながら
買ってきた缶ビールをマッタリ飲んでたな
まさに、星見酒って感じだ
最高だったなあ。

一回り世代が違う男が三人。
爺さんは奥さんとの馴れ初めを無邪気に語り
大学生君は顔を真っ赤にしてマスターの娘さんへの想いを語り

俺は大学時代最後に行った夏祭りの事を話したなあ
それが最後の夏になると思ったのに、こうして今また夏を堪能してることを噛み締めてた

そうこうしてると、華のある声がした

「こんなところでなにしてるんですか」
そこにいたのはマスターの娘さんだった
といっても大学生君の好きなお姉ちゃんの方ではなく
妹の高校生の方だった

俺はしめた、と思ってニヤニヤして
「お姉ちゃん呼んでこれる?」って言った
そしたら大学生君がやたらてんぱってたな

大学生君は本当に焦ったのか、「お腹痛い」
って言って部屋に帰ってしまった
お前のために機転をきかせたのに!

マスターの娘さん二人が来た時は、そこには俺と爺さんしかいなかった
なんとも不思議な構図だよw

爺さんと30のオッサンと大学生と高校生w
およそ普段生きてる日常では考えられない状況だったな

娘さん二人はすごい美人、ってわけではないけど
可愛らしくて、今時めずらしい落ち着いててて素直な子たちだった

そのまま話してたんだけど、お姉ちゃんの方は酔ってたこともあって饒舌だった
俺が昔の恋バナをしてみせると、彼女も恋の話をし始めた

爺さんは笑って静かにビールを飲んでたな

でも彼女の口から出たのは苦い一言だったなぁ
「大学に好きな先輩がいる、振り向いて欲しい」

うん…大学生君には申し訳ないけど、なんというか青春の甘酸っぱさを感じたよ
その瞬間、すごくいたたまれなくなった
好きな人のことを語る彼女はとても嬉しそうで可愛かったし
でも大学生君の想いも知っていたし

まさかこの歳にしてこんな想いができるとはねw
高校生にでも戻った気分だったよ

その後、娘さん二人は眠くなって部屋に戻って
また爺さんと二人きりになったんだけど

この話どうします…?w
ってコソコソ話して、爺さんは終始笑ってた
「あとは彼らを見守るだけだよ。若いってのはいいね」
って嬉しそうに言ってた

俺もそう思ってた
若いっていいな、俺もまだまだ色んなことできそうだって思えた

爺さんと笑いながら穏やかに話して
「俺君も頑張りなよ。」って楽しそうに言われた
爺さんはいつも俺のことを
「若いのに見所がある」「面白いやつだ」って気に入ってくれてた

「独身には独身の楽しみがあるけどね」
「家族がいるってのも楽しいんだ、私はね」
っていつも言ってた

「爺さん見てるとそう思います」って俺はいつもそう答えてた

部屋にもどると、大学生君がちゃぶ台にもたれかかってビール飲んでた

「おかえりです」
なんだか俺は顔を合わせられなかった
さっきのお姉ちゃんの言葉がこだましてた
大学生君は俺の方を見ないで話続けた

「俺明日思い切って気持ちを伝えようと思います」
不思議なことに俺はあまり驚かなかった

「いいことだと思うよ、手伝えることがあったら言って」
最後までこの若い青年の恋を見届けようと思った

次の日は
午前中は各自自由行動で
昼食食べたらそのあとはマッタリして帰る流れだった

朝からとてつもない暑さで、俺はふらふらだった
昼食のあと、大学生君が宿の裏にお姉ちゃんを呼び出した
俺はバドミントンをするふりをして、陰からそれを見ていた

といっても、妹さんの方が気になって覗いていたので
俺も一緒になって見ていたのだがw

最初は、そのへん散歩しつつ写真でも撮ったれ
と思ってフラフラとタオルを首に巻き、麦わらをかぶって
完璧な夏スタイルで出かけようとしていた

すると玄関先で妹さんに会って、元気な声で
「バドミントンしませんかー!」
って言われたので、こんな機会はないな、と思って快諾した

失敗するたびに「うけるーw」と煽られて、楽しかったけど
若者の体力には勝てず、元気な妹さんに追いつけなくなった俺は
自販機でジュース飲もうって言って二人で宿から離れようとしたら、大学生君に呼ばれた

大学生君「どうしましょうか…もう時間が…」
俺「決心したなら、勇気出さないと…」

そこで、大学生君が妹さんにお姉ちゃんを呼ばせようとしたので
俺はそれを遮った

「だめだよ。自分で呼んできなよ。頑張ろう」
結構強い口調で言ったと思う

そう言うと大学生君は頷いて、宿の中に走っていった
妹さんに「なになに?どうしたの?」
みたいに聞かれたから、笑って「見てれば分かるよ」って答えた

そのあとしばらく妹さんと二人で
宿の入り口から少し離れた自販機でジュース飲んでた
額から汗が滝のように流れて来て、やかましいくらいにジワジワ蝉が鳴いてた
「夏だねー」なんて言い合ってた

宿題とかやってんの?って聞くと
全然wやばいなーwとか言われた
二日目ともなるとお互い慣れてきていて、リラックスしていた

確かに話せば話すほど
マスターの娘さん二人は魅力的な子たちだった
今にしては素直で明るくて、いい子たち
大学生君が好きになる気持ちも分かる

そうしてると、宿の中から大学生君がお姉ちゃんを連れて出てきた
妹さんが「あ、出てきたよ!」と言うので
二人してバドミントンのラケットを持ったままついていった

「シーッ」って言われながら後をついていって
まるで中学生が何かいたずらをするかのような
すごく微笑ましくてワクワクした

むせ返るような暑さの中で
俺はもうろうとしながら妹さんと二人で陰から大学生君とお姉ちゃんを見ていた
すごく印象的な光景で
今でもよく覚えてる

大学生君「あのさ…聞いて欲しいことがあるんだよね」
お姉ちゃん「どうしたの…?」

頑張れって心の中で思った

大学生君「ずっと…好きだった。良かったら俺と…付き合ってください」

お姉ちゃん「ありがとう。でも…私今好きな人がいるんだ、ごめん」
お姉ちゃんは笑っていた、けどどこか寂しそうだった

大学生くんの恋は終わった
俺と妹さんは、黙ってただ眺めていた
すっげえ蝉が鳴いてた

しばらく大学生君とお姉ちゃんはその場で話していたので、俺達はそこを離れた

妹さんはもっとはしゃぐかと思ったけど、とても神妙な表情で黙っていた
俺が「青春だね」って言うと

「そうだね、いいなぁ」ってゆっくりと言った

その後、また二人でバドミントンを始めた
ラリーを続けながら妹さんは俺に叫び始めた

「私も」「えー?」「今度ねー」「うん」
「好きな人に」「うん」「告白することにしたー」「まじかー!」

きっと妹さんにとって俺は「なんでも話せる気のいいおじさん」
だったんだろうな
そんなこと言ってくれるのが素直に嬉しかったよ

ラリーが終わると、してやったって顔で
こっち見て笑うんだ、可愛いもんだよ
きっとこの子ならたくさんの人に好かれるだろうな、とか思って安心した

帰りのバスで大学生君が明らかに落ち込んでいたので
隣に座ってオロナミンCを差し出した
そんで俺のipod貸してあげて音楽を聴かせてあげた
終始涙目になってて
俺が話しかけることはなかった

この頃から俺の中で色んな価値観が変わり始めた
一所懸命自分の恋を走った大学生君
快闊な態度で俺に告白する決心を話した妹さん
そして幸せそうな爺さん

今まで、これでいいと思っていた自分の価値観が
とても不安定なものに思えてきて
それでいてとても前向きな気持ちになってきている気がした

もうとうに諦めていた青春が、自分の目の前で駆け巡っているのを感じた

そして決定的な出来事が起こる

旅行も終わってしばらく経った夏の終わり
久しぶりに碁会所に行くと、とても嬉しそうにしている爺さんに会った

「久しぶりだなあ、聞いてよ」といって笑って俺に話しかけてきた

なんと、旦那さんと娘さんの間に子どもができたんだそうな
娘さんが妊娠したらしい。
とてもおめでたいことだった

その日、俺は久しぶりに爺さんの家にお呼ばれした
娘さんも旦那さんも本当に嬉しそうで
爺さんと奥さんもとても上機嫌だった

幸せな家庭の、幸せな瞬間、俺はただそれを
素敵なものだ、と思って眺めているだけだった

それは本当に素敵だった すごく羨ましかった

その日の帰り、爺さんが家の外までついてきてくれた
俺「素敵ですね。羨ましいです。」
 「俺も…爺さんみたいな素敵な家庭が築きたいです」
爺さん「君にだって思い残している人がいるはずじゃないか。」
    「勇気を出してごらんよ」
爺さんはあの笑うと線になる優しい目でそう言った

旅行で話した事だろう
俺の大学時代の夏の思い出を爺さんは知ってる

俺はその日の爺さんの一言で決心した

今日から、変わろう
そう決心した

とにかく爺さんの娘さんのおめでたがあってから
俺の中で色々と決心がついた

夏が終わる前に、色々と自分から動いてみようと決心した
大学時代、唯一想いを寄せていた人に
思い切って連絡を入れてみようと思った

俺のたった一つの青春だった
生まれてから、人を好きになったのなんて彼女くらい

大学時代、一度だけ彼女ができたことはあったが
人とかかわることにあまり楽しみを見いだせなかった俺は
上手く行かなかった

それは恋愛だけでなく、交友関係も
なにより一人でいることの好きだった俺は、当時携帯やネットの普及し始めたばかりの
若者の巣で、あっという間に孤立していった

買ったばかりのMOVAの携帯も、大学の友人からの連絡はほとんど無かった

そういやMOVAの電波ってもう止まったんだっけ?なんだか寂しいな

最初こそ一人でもいいな、とか思ってたし
俺はやりたいことが色々あった

無趣味とは思っていたが、それは色々やりすぎてどれも中途半端ってことだった
囲碁やチェスを少しかじってみたり
50円ゲーセンに通い詰めてみたり(この頃は都内にまだ沢山あった)
写真を撮ってみたり
コミケに参加してみたり

しかしどれもしっくりとは来なかったし
さすがに俺も危機感を覚えて、寂しくなった

そんな中で俺が接触をはかったのが地元の友だちだった

中、高って一緒だった旧友の結構な人数が東京にも来ていたので
俺はそいつらと頻繁に遊び集まるようになった

その中には、俺が中学校からずっと好意を寄せている子もいた
とはいえ、中学高校通して同じクラスに3回もなっているし
塾も一緒だったので、腐れ縁 向こうもよく気の知れた友達としか思っていない

無論俺もそう考えていた
何故なら向こうには高校からずっと付き合っている恋人がいたのだ

ただ、大学に来て垢抜けていく彼女を見ていると
俺はとても悲しくて恋しい気持ちになった

いつもテキトーに遊んでいた、たまに彼氏もグループに混ざってくることもあった
俺は信じられないくらい見苦しい気持ちを抱いてたと思う
お前さえいなけりゃ、お前さえいなければ
俺は中学の時からずっと彼女を見てきたのに…

俺は中学の時から、何度彼女に告白しようと考え、諦めてきたことか
それを一度も口にしなかった俺がいけないんだけどね

そして俺にとって忘れられない日が来る
爺さんたちにも話した夏祭りのこと

いつもの旧友グループで、憧れのあの子も来てた
わかりにくいから憧子とかでもいいかな?w
もちろん彼氏も一緒だったわけで
男女混合の8人くらいのグループで夏祭りにいったんだ

それでみんな出店みたいとか、食べ物買いたい、とかで離れて
偶然憧子と俺は二人きりになったんだよ

なんだろうなあ、縁日の雰囲気なんだろうな
陽気な楽器の音色にノスタルジックな出店の列

浴衣姿の憧子を見て俺は
「よく似合ってて可愛いね」って言ったと思う
本当に可愛くて、俺は見とれてしまった

すると笑って、確かにこう言われた
「わたしね、中学の時はずっと俺のこと好きだったよ。懐かしい」
俺は突然のことでビックリした
ここで「俺もずっと好きだった」って言えば良かったんだけどね

勿論俺はそんなことは言わない
憧子には彼氏もいたし気を使って
「それは迷惑な話だw」とか心にもないことを言ったと思う。
バカだ俺。

すると憧子は続けたんだ
「わたしね、◯◯と結婚することにしたんだ。昨日、ちゃんと約束したの」
とつぶやいた

学生の「結婚する」宣言ほどあてにならないものは無いが、
当時の俺はしこたま心にダメージを受けた
昔は俺の事を想ってくれていた、そして俺は本当の気持ちを言えなかった
加えての結婚宣言で、泣きそうなくらい狼狽した

花火がうるさいくらいに鳴り響いていて
みんな綺麗だねーとか言ってたけど、そのとき見た花火ほど悲しいものはない

「俺は何をやっているんだ」

ぼーっと憧れを見ていたら、目の前から取り上げられてしまった
好き、と伝えることもできず
それから俺は自分でも驚くくらいの自己嫌悪に陥り
旧友たちとも滅多に連絡をとらなくなった
そしてあっという間に孤男の完成だ

後悔の念だけが頭に染み付いてとれないまま
何年も経過した

そして俺はなんのに変わり映えもしない毎日に沈んでいくことになる
仕事、酒、就寝、仕事、酒、ネット…
どこにでもいるダメリーマンと相成ったのだ

そして26歳になった時、唐突に連絡があったかと思うと
憧子は結婚した
本当に結婚した、してしまった
俺はBGM係となった(PCに強そうだから、と)

式に呼ばれる、選曲を練ってあげる
楽しいことじゃないか、喜ばしいことじゃないか
人生の大事な大事な晴れ舞台で…

俺は死ぬほど悲しくなった

目の前で幸せそうに笑う人々
一緒に笑って拍手をする俺
どこで何を間違えたんだろう…
今でも中学時代の彼女の横顔が脳裏をよぎる

マラソン大会の練習の時、一緒にゴールして疲れたね、っ言って隣で笑う彼女のことを、
俺は未だにはっきりと覚えていた

俺は泣くのをこらえた 俺が泣いたらおかしすぎるw
そして俺はその日から、ますます人と関わりを持つことを控えるようになった
俺という人間の価値観として、
手に職があるし、ずっと独身でもいい、マッタリ生きてこう
と心に決めた

そうして俺は悪く言えばぼっちの毎日
良く言えば低燃費な毎日を過ごしていた

それでスレの冒頭の、多摩川で爺さんたちに出会った
最初こそびっくりしたけど
相手が爺さんで懐かしい感じがして、俺が偶然仲良くなることができた

そしたらみるみる内に新鮮な出来事が俺を取り巻いてくれた
本当に、運が良かったよ

夏の旅行の一件や
爺さんの娘さんのおめでたで心動かれた俺は
自分を変える決心をした

憧子に連絡して、自分の本当の気持ちを伝えきろうと思った
彼女に「好きと言えなかった」ことが俺の重い足かせになっている
俺はそれをずっと見て見ぬフリしてきた

これが正しい選択かなんて分からない
今更、この歳になって「好きだった」なんて言うのは馬鹿げてる
でも一歩踏み出したかった

俺は休みをとって
地元に変える計画を立てた

とはいえ俺はいいものの
家庭がある彼女を引き連れるのは容易なことではなかった

俺の地元の近所では、毎年夏の終わりに花火大会がある
シーズン最後の花火大会となるそれには、県内から多くの人があつまる
俺の実家の庭は広く、絶好の花火鑑賞スポットだった
これを利用しようと思った

突然の連絡で驚いただろうな

今度の花火大会、ウチの庭で見よう
テーブルや椅子を用意して、外で花火見ながら酒盛りしよう。
家族はもちろん、高校メンツの連中を呼んでいいよ

そういって俺は柄にもなく自ら花火見酒を企画した
でも、不思議と嫌に感じなかったし、楽しくさえあった
もしかしたら、少しだけ爺さんの影響もあったのかもな
誰かを巻き込んで、誰かと一緒に飲む、それも悪くないと思えた

企画には、予想以上に多くの友人が集まった
憧子の力もあったからかもしれないが

皆4,5年ぶり、大学ぶりなんてヤツもいるのに来てくれた
「お前、元気にしてたのかよ!心配したぞ!」
「懐かしい、お前の家でよくストやったよな」
俺は目の前の光景に涙が出そうだった

皆すっかり大人になったとは言え
旧友は旧友なのだ
会った瞬間当時のテンションや懐かしさが一瞬で蘇る

皆と笑いながら飲んでて
「勇気を出してごらん」と言った爺さんの顔が浮かんだ

多くの人が俺の家の庭で楽しそうな時間を過ごしていた
俺はそれを見てウットリしていたが

途中、勇気を振り絞って憧子を呼び出した
「ちょっと来てごらん」と言って話しかけ
「どうした?」なんていう彼女を家の裏へと連れて行った

「ここにゴミまとめてあるから…」なんて最初は全然関係ないことを言ってたけど
俺は死ぬほど勇気を振り絞った

俺は、はっきりと憧子に伝えた
「ずっと言いたくて言えなかったことなんだけど
言わないと俺がずっと変われないから言うよ」
こんな言い回しで話し始めたと思う

「ずっと憧子のことが好きでした。でも素敵な人を見つけた。これからは幸せになってね」
言った。言ったぞ。
これが本当に正解だったかは分からないけど、言った。

憧子はしばらく呆然としていた
が、すぐに笑って「なにそれwありがとう。幸せでいるよ」と言った

そして彼女は付け加えてこう言った
「あ、これも言ったほうがいい?…ごめんなさい」

そう言って俺に頭を下ろした
その瞬間、俺が人生をかけて育ててきた、悪いものなのか、良い物なのか分からないけど
そんな何かが心の中から消え去った気がした

彼女はとても驚いていたけど、真剣に応えてくれた
大人だし、茶化して流して終わりにもできる
けれど憧子は中学の時となんら変わらない様子で、
真剣に俺の告白に応えてくれた

すごく悲しい気持ちになった

でも、色々な事実をこれでやっと受け止めた気がした
彼女が結婚したということも
俺が新しい一歩を踏み出さなきゃいけないということも

とても前向きな気持になれて
今ならなんでもできる、という気さえした

憧子と二人で表の宴会に戻るとき、
憧子に「俺も頑張りなよ。」と笑顔で言われた
何かを察していたんだろうな

俺も勢い良く「今日からまた新しい一歩を踏み出すんだ」と言った

その日見た花火は、あの大学の時見た花火より数段綺麗で
なんとなくだけど希望に満ち溢れてる気がした

あの夏が最後の花火になってしまったと思ったのに…
まわりの皆に「今年最後の花火だね」って言われて、俺はそんなことを思ってた

いくつになってからでも花火は打ち合えげられるんだ、なんて
そんなクサイことを考えながら皆と一緒に花火酒にウットリしていた

それからの俺は、だいぶ社交的になったと思う
会社の飲み会にもよく顔を出すようになり

会社の同僚たちともよく遊ぶようになった
ほとんど話したことのなかった会社の女の子たちとも関わるようになり

気持ちひとつでここまで世界が変わるのかって思った
その間も碁会所には通い続けた
爺さんの娘さんのお腹が少しだけ大きくなってきたり
大学生君やマスターの娘さんたちともたまに顔を合わせ

俺の毎日は、急に楽しくなった

そしてなんと同僚の年下の女の子に、偶然にも囲碁に少し興味があるという子がいて
俺はその子と懇意になっていった
休日何してるんですか?と聞かれて恥ずかしそうに
碁会所とか行ってるw と行ったら予想外に食いついて来たのだ

碁会所にもその子を連れて行ったりして
顔なじみのお客さんに茶化されマスターに笑われ

この時点で秋もすぎて冬だったかな
爺さんに出会ってから、俺の毎日は目まぐるしく変わった

俺にとって幸せな毎日だった
とてもとても
その年のクリスマスも人生で初めて異性と過ごした
後輩は、とてもいい子だった

碁会所で、クリスマス会なんぞもあった
忙しい合間をぬって、俺は行った
小学校の頃の「お楽しみ会」を思い出すかのようなアットホームぶり

大の大人たちが年甲斐もなくはしゃぎ倒している
ほとんどの人が、碁会所でしか会わないのに
昔からの友達かのようにとても親しげに楽しそうに、

俺は、この碁会所に来て生まれ変わった
俺に楽しみをくれたし、若さをくれた
こんなお年寄りたちに若さをもらうなんて、なw

年が明けると、俺は彼女となった後輩を連れて爺さん家に行った
もう、すっかり娘さんのお腹も大きくなってきていて
家の中は幸せな空気そのものといったところ

俺の目の前にも洋々とした未来が広がりだしたなって思った
爺さんしきりに孫が生まれるぞいいだろいいだろ、って言うんだw
そんで俺君にも子どもが生まれたら私の孫だって言うんだw

ほんと、憎めない人だよw

それからしばらくは、碁会所にもそんなに行けなくなった
俺も仕事が忙しかったし
まあ何もかもが順風満帆な気がしたし、仕事は辛くなかった

たまーに碁会所に行っても爺さん家の誰かに会うこともなかった
娘さんもそろそろ大変だろうし、色々とバタバタしてるんだろう

子どもが生まれるってどんなんかなあって俺は楽しく想像してた

3月になった頃かな
ちょうど地震があってさ
どうなっているだろうって碁会所に様子を見に行ったんだよ
なんとか皆無事だと聞いて、安心した

碁会所には爺さんの娘さんの旦那が来ていた
俺は「爺さん最近どうしてるの?」って聞いた
なんでも、地震の揺れに驚いてつまずき、少し足を悪くしたらしい
だからしばらく来れないとか
俺は少し寂しくなるなーって思った

それで4月になった頃、爺さんの娘さんが出産した
娘さんと旦那さんが碁会所に子ども連れてきていた
元々が仲の良い碁会所
みんな寄ってたかって子どもをみたがり軽い祭り状態

俺も「お〜よちよち〜」とか言ってたw
もうね、赤ちゃんってね、マジ可愛いんだw

ただそこに嬉しそうに笑ってるはずの爺さんはいなかった
よっぽど足悪くしたんだろうな、残念だ

俺はそれからも楽しい毎日を続けていた
仕事も楽しいし、友人ともうまくやってた
恋の方も順調で、碁会所にも通い続けていた
まあ相変わらず2ちゃんやらネットも存分に続けていたw

でも、相変わらず爺さんたち一家はパッタリ来なかった
こっちからはあまり連絡をとったことがなかったし
今までも自然に碁会所で会う感じだったから、とても拍子抜けだった
おかしいなあおかしいなあって思いながらも

俺はいつか来るだろうって思って待ってた
爺さんがいるはずの隅の席が寂しく見えた
コーヒー、淹れてやるのにな

夏が来た頃、俺はあまりにおかしいって思った
マスターに聞いても「何も聞かされてないんだ」って言う
こんなことは初めてらしかった

なんとなく嫌な予感がし始めたので
俺は爺さんの家の電話に連絡しようかと考えた
でも携帯とは違うし、あくまで碁会所だけの友人である俺が
いきなり自宅に電話かけるってのもあれだし…って思ってずっと悩んでた

ただ、社会人になるとあまりに時間が流れるのが早いんだよな
みんな分かるだろ?大学の頃の10倍時の流れが早く感じる

仕事やら実家のことやら、色々追われていたらあっという間に夏が終わってた
あまりに一瞬だった
あれ?夏いつだった?って思った、コミケも行かなかったし

夏が終わろうと相変わらず来ない爺さん一家
もうどう考えても何かあったとしか思えなかった

9月になった頃だろうか
俺は爺さんの自宅に思い切って電話した
思えば、電話なんぞ初めてした
だって今までかける用事なんてなかったしなw

今でも忘れんな、あの時の奥さんの電話のトーン。
電話したら、奥さんが出たんだ
「どなた?って」
だから俺です、って言った
そしたらものすごい勢いで感激して「久しぶりねえ!」って言った
そして今までまったく碁会所に顔出せなかったことをひたすら謝られた
「会えなくてごめんね、ごめんね」って

俺は笑って、爺さんどうしてます?電話出れます?って聞いた

そしたら少し黙って「今は家にいないのよ」って言われた
俺は「え?」と思ったがなんとなく覚悟はできてた

聞いても、あまり深くは答えてくれなかった(今思えば当然だが)けど、
爺さん胃癌になっちゃって病院に入院してるらしい
俺は、それでも冷静で、そうなんですか。って言ってしまった

電話切った瞬間一気に力抜けて、とても悲しくなった
泣きなんてしないけど、なんだか頭の中が真っ白になった

それからなんとなく、毎日に力が抜けた
祖父母を幼い頃に亡くしてたし、親父も学生の時亡くなった俺にとっては
本当のおじいちゃんであって親父のようであったし

こんなに心の通じる友はいないって思ってたから
いなくなるのがとても怖かった
それからは毎日何やるにしても気が気じゃなかったな
でも癌だって治る人はいるし
俺はそれを信じてた

眠いけど頑張るぜ…俺はちゃんと書ききりたい。

俺が電話してからしばらく経った日
奥さんに都合のつく日を教えて欲しい、と言われた
俺がもしできたら会いに行けませんかって言っておいたのだ

そして俺は爺さんの病院に面会へ行った
もう、秋もだいぶ深まっていた11月初旬くらいのことだったろうか

その日はたまたま娘さん夫婦も来ていて
俺に軽く会釈してくれたっけ
「お久しぶりです」って みんななんか神妙な面持ちで
病室に入ると寝てる爺さんがいた

変わり果ててしまっていたな
正直、こんな姿は見たくなかったって思った
もう、意識もあるんだかないんだかで

「久しぶりです、俺ですよ、分かりますかー」って言っても
「あーうん…あー…」としか言わないんだ

人生の最後って想像が脳裏をよぎった瞬間鳥肌たった
こんなになってしまうんだ…なんて辛いんだ…って

俺泣きそうになってたよ
なんで俺が泣きそうなんだよ、もっと泣きたいのは家族の方だよ

忘れもしない、爺さん、こんなこと言うんだ
「君…寿司をとってきてくれ…お金ならいくらでもやる…」
唯一分かること、こんなこと言われたんだ
いまでも忘れられねえよ

もう悲しくってしょうがなかったよ
こんなこと、決して言う爺さんじゃなかったのにな

もう爺さん弱ってて、
しきりにもう亡くなった兄弟のこととか
昔のことばっか話すようになってたらしい
旦那さんのことさえあやふやだったという

そりゃあそうだ、俺のことなんか覚えてるはずねえよ
俺は病室出るとき言ってやったよ

「僕はね、爺さんの友達なんです。ずっとずっと、友達です」って

爺さん「あーそう…」みたいにしか言ってなかった
聞こえたんだろうか
俺半分泣いてたよ
本当、壮絶なものを見てしまった

その日、家帰ってめちゃくちゃ酒飲んだ
多摩川の写真とか見ながら
次の日会社だったけど、しこたま飲んでやった

それからまた、爺さん一家とはぱったりと連絡をとらなくなった
いや、向こうがとれなくなったんだろうか

俺は、奇跡を信じながら碁会所に通い続けた
この頃になるとマスターとか一部の人たちは爺さんの状態を知っていた
みんな、すっごい心配してた

爺さんは俺の友達だよ
親父でもおじいちゃんでもあったけど、やっぱ友達だったよ

あの日、多摩川で一人で写真を撮ってる俺に笑って話しかけてくれた爺さんの目は
友達のそれだった

爺さんが話しかけてくれて、こんな歳になってしまった俺の目の前で
青春が勢い良く走りだしたんだから

くよくよしているうちにあっという間に年が明けた
うん、今年だよ、2012年になった

爺さん、爺さん
信じていたけど…

2月になった頃
爺さんの家からFAXがきた、電話ではない。
それは、爺さんの不幸を告げるものものだった

目を疑った。ダメだった、ダメだった…

正直俺は
お通夜に参列することに戸惑った
旧くからの友人でもなければ
親戚でもなく、仕事の同僚でもなく、俺なんかが式に行っていいものかとても悩んだ
遠い知人であれば、後から香典を送るというのも一つのマナーでありお悔やみだ
どうすれば…

でも俺は、最後に爺さんに会いに行かなきゃ後悔すると思った
俺は、爺さんに最後まで面と向かって「ありがとう」って言ってなかったじゃないか
俺は、爺さんにとって最後の新しい友だちだったに違いない、そう思った

俺は爺さんのお通夜に参列した
しっかりと、最後を見届け、そしてありがとうと伝えた

目まぐるしく回ってきた日々、その中にはいつも爺さんがいたね
いろんな事が落ち着いた頃、俺は爺さんの墓参りにも行った
色々語りかけた

爺さんありがとう、ゆっくり休んでね
爺さんの優しさが、俺を変えたんだよ

今は彼女ともよくやっているんだ
近いうちに、結婚すると思う。

俺、幸せになるんだよ
見たいって言ってた孫wもきっと見せに行ってやるからね

ありがとう、俺すっごく今が楽しいんだ
爺さんみたいに、楽しくて素敵な家庭が築けそうなんだ

ずっと憧れだった、少しずつだけどしっかり歩いてるからね

ただ残念だなあ
結婚したら、絶対式には爺さんも呼んだのに
最年長の友人としてね
笑っちゃうでしょ?でも俺はそんなことを夢見ていたんだ

なんであと少し間に合わなかったんだろう
爺さん、一緒に飲もうなって言ってた日本酒の銘柄、全然飲めてないぞ
囲碁だって、一度は負かすって言って、一度も勝ったこと無いぞ
生まれたばっかりの孫だっていたじゃないか

ごめん、溜まっていたことをここに連ねることになってしまいそうだから
自重しておくわ

そんなこんなで、爺さんはこの世を旅立った

立派に生きた男の最後だったと思う
家族と友人にあそこまで愛される人も、そうそういないと思う

ここではたいそう立派なことを書いていた俺も
なかなか気持ちの整理ができなくて
ここ何週間かはずっとふさぎがちだったんだ
彼女や同僚にもすごい心配されて
碁会所に行っても全然喋らなくなっていたから

それでこないだ、たまたま田園都市線に乗ってさ
二子玉を通って
色々と思い出したんだよね
そういやちょうど今くらいの時期だったなあって

これが、俺の30歳からの青春です
多分青春はこれからも続いていくと思う

遊び心や好きな気持ちを忘れなければ、いくつになっても終わらない青春があるって
爺さんが教えてくれたからね

今度は爺さんの分まで俺が幸せになって、いくつになっても青春を追いかけようと思う
そう決心したよ

すっごくクサイまとめになってしまったけど、これで俺の話はおしまいです

明日から頑張ろうと思う
皆も、一緒に青春を生きよう

どっかの囲碁大会とかで近いうちに会えたらいいねw

 

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