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    【他人棒に】彼女が旅先で味わった超肉食絶倫4Pセックス(続) 【寝取られ】


    前回↓



    翌日、南国の空は見事に晴れ渡っていた。

    まさに海水浴日和。


    「ねぇ直樹、本当に大丈夫なの?」


    「大丈夫大丈夫!もう熱も下がったし、太陽の光浴びてさ、海で遊んでれば風邪の事なんか忘れちゃうよ。」



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    水着に着替え終わった俺を心配そうに見る亜紀。


    「本当に?」


    「本当だよ。昨日の事が嘘みたいに身体軽いし。」


    「そっか、あ〜良かったぁ。本当は直樹がずっと体調悪いままだったらどうしようって思ってたから。」


    「そうだよな、ごめんな。でももう大丈夫から、ほら、亜紀も早く着替えてきな。」


    「うん!」


    正直に言うと、俺の体調はまだ完全には治っていなかった。医者には2、3日安静って言われてるし。

    でも昨日と比べれば大分良くなっているのは本当だ。

    まだ少し微熱が残っているのと、腹の調子がイマイチなだけ。

    旅行2日目は一番楽しみにしていたんだ。だからこの日を1日中ベッドの中で過ごすなんて、俺には我慢できなかったんだ。

    多少無理してでも、亜紀と南国の海を楽しみたかった。



    「ねぇ直樹……これ、大丈夫かな?やっぱりちょっと恥ずかしいよぉ。」


    水着に着替え終えた亜紀が部屋のドアから顔だけ出してそう言ってきた。

    恥ずかしそうな表情をしている亜紀を見て、俺は思わず笑みを浮かべてしまった。


    「そんな事聞かれても、見てみないと分からないよ。ほら、出ておいで。」


    「……うん……分かった。」


    そう言ってビキニ姿の亜紀がゆっくりと部屋から出て来た。


    「ねぇ、変じゃない?」


    俺は亜紀の水着姿を見た瞬間、そのあまりの美しさに心奪われてしまった。

    俺達はもう付き合って1年だ。だから俺は亜紀の裸を知っている。

    でもそれでも亜紀のビキニ姿は俺の目に新鮮に映った。


    「ぜ、全然変じゃないよ!ていうか凄く良いよ、綺麗だよ。正直惚れ直した。」


    「惚れ直した?フフッ、本当に?」


    嬉し恥ずかしそうに身体をモジモジさせながら鏡で自分の水着姿を確認する亜紀。

    青と白のカラーが亜紀の白い肌によく似合ってる。

    それにやっぱり少し生地が小さ目のビキニだからか、ちょっとだけエロい。それが俺の男心にグッときた。

    具体的に言えば、亜紀の柔らかな乳房の膨らみとお尻の丸みが少しだけ水着からハミ出ているのがエロい。

    でもそんな水着でも亜紀が着ているからなのか、不思議と下品な感じがしない。

    2人で買いに行った水着だけど、これにして正解だった。想像通り、いやそれ以上に亜紀に似合ってて可愛い。

    まぁ少しエッチなデザインと言っても、こっちじゃ皆これくらいの水着普通に着てるし、中にはもっと大胆な水着の人も沢山いるしね。


    そして俺達はさっそく海へ行く事に。

    亜紀はそのままの格好で行くのはまだ恥ずかしいみたいで、ビキニの上からTシャツを着て行った。


    南国の太陽が病み上がりの俺の身体に染みる。

    コテージのすぐ近くに海があって助かった。この近さなら休憩するのにすぐに帰ってくる事ができる。

    海にはそれ程人が多くなくて、これなら思う存分海を満喫できそうだ。


    「わぁ!やっぱりここの海って本当に綺麗だね。早く泳ぎたーい!」


    「よし、じゃあとりあえず2人で入ってみようか。これだけ青い海で泳ぐのってどんな感じなんだろうね?」


    「そうだよね、こんなのテレビでしか見た事ないもん。」


    海を目の前にして気持ちが高まる俺と亜紀。


    しかし、そこでタイミングを見計らったようにアイツらがやってきた。


    「亜紀ちゃーん!」


    牧原だ。篠田と坂本もいる。

    亜紀はその声に気付き牧原達の方を見る。

    その瞬間、亜紀の表情がぱっと明るくなったのを俺は見逃さなかった。

    亜紀は牧原達が来て嬉しいんだな……。

    昨日牧原達と遊んで楽しそうにしてたもんな……。


    「あれ?なんで直樹いるの?お前身体大丈夫なの?」


    牧原は来て早々に俺の顔を見てそう聞いてきた。

    なんでいるの?じゃねぇだろ。いちいち癇に障る聞き方してきやがって。

    亜紀の彼氏である俺が亜紀の横にいたらおかしいか?

    でも一応お礼は言わないと。


    「お陰さまで、良くなったよ。昨日は病院まで連れて行ってくれてありがとう。」



    「おお、良かったなぁ!まぁ旅行中ずっとベッドの中にいたんじゃ可哀想だもんな!ハハッ!」


    笑いながら俺の肩をバンバン叩く牧原。

    痛ぇなぁ……。


    「亜紀ちゃん達もこれからだろ?俺達バナナボートとか予約してあるからさ、後で一緒に乗る?」


    「わぁ、バナナボート!乗りたいです乗りたいです!私バナナボート乗ってみたかったんです!」


    「ハハッ!じゃあ後で一緒に乗ろう。」


    嬉しそうに牧原達の誘いに乗る亜紀。

    やっぱりこうなっちゃうのか……本当は2人だけで楽しみたかったのに……。

    でも牧原達には昨日助けてもらった事もあるし、俺の方から断る訳にもいかない。


    そして結局、俺達はこの5人のメンバーで海水浴をする事になってしまった。



    12


    「あれ?亜紀ちゃん、Tシャツ着たまま海に入るの?」


    海に入る前に、牧原が水着の上にTシャツを着たままだった亜紀の姿を見て聞いてきた。


    「あ、そうだった。」


    「こっち来る前にわざわざ買ってきた水着なんだろ?そんなの上に着てたら勿体無いよ。」


    「そう……ですよね。」


    指摘されて気付いた亜紀は、そう言って両手でTシャツの裾を持って脱ぎ始めた。

    すると横にいた篠田と坂本の視線も待ってましたと言わんばかりに亜紀の方へ向く。

    裾が持ち上げられて、露わになっていく亜紀の白肌とビキニに包まれた胸の膨らみ。


    「おおー!」


    亜紀がTシャツを脱いでビキニ姿になった瞬間、男3人が合わせるようにして声を上げた。

    そして3人の目が亜紀の身体を舐めまわすように動く。


    「いいねぇ亜紀ちゃん、凄く似合ってるよ。」


    「本当ですか?……でもそんなに見られると恥ずかしいです……」


    「亜紀ちゃんやっぱ良い身体してんじゃん、彼氏が羨ましいわ。」


    「やだぁ篠田さん、なんかイヤらしいですよ。」


    「ハハッ、仕方ないよ男なんだから、亜紀ちゃんみたいな可愛い子の水着姿見て興奮しない奴なんていないよ。」


    牧原達は亜紀の水着姿を絶賛しながらも、その視線と言葉には明らかに性的なものが含まれていた。

    しかし亜紀は顔を赤くして恥ずかしがってはいるものの、それを本気で嫌がっている訳ではなさそうだった。

    たぶん単純に自分の水着姿を褒められて嬉しかったんだと思う。



    「直樹も行こ?」


    牧原達が海に入っていき、俺も亜紀に誘われるようにして海に入っていった。

    海は少し波があったけれど穏やかで泳ぎやすかった。

    そしてなんと言っても海水が綺麗だから心まで晴れやかな気分になる。


    「わぁ気持ちいい!」


    持ってきた浮き輪でプカプカ浮きながら楽しそうにしている亜紀。

    俺もそんな亜紀の近くで足元まで見える海の透明感を堪能していた。

    正直、俺はまだ体力が戻ってなかったから、あまり沖に出ないでこういう浅瀬で遊ぶのが丁度良かった。

    そう、俺達はここで十分海を満喫してたんだ。

    なのにまた牧原達が……


    「亜紀ちゃん、そんな浅いところにいても面白くないだろ?俺達があの岩場まで連れて行ってやるよ。」


    「え?あそこですか?結構遠そうだけど……」


    「大丈夫、篠田は元水泳部だから。亜紀ちゃんは浮き輪に掴まってればいいからさ。」


    「あの岩場は座れる所もあるし、良い所だから亜紀ちゃん絶対気に入るよ、な?行こうよ!」


    そう言って身体のゴツイ篠田が強引に亜紀の浮き輪を押していく。

    ちょ、待てよ。勝手に亜紀を連れてくな。


    「おい、直樹も行こうぜ。」


    牧原と坂本もそれについていくように泳ぎ始める。


    「えっあっ、ちょっと待って……」


    クソッ、俺も行くしかないな。

    亜紀もなんか行きたそうな顔してるし、かと言って亜紀を1人で行かせたくもないし。

    俺も仕方なく泳いでそれについていく。


    「わぁ速い!篠田さん凄いですね!」


    亜紀は浮き輪を押しながら泳いでいるのにも関わらずかなり速いスピードで進んでいく篠田の泳ぎに興奮気味。

    実際、俺もそのスピードについていくので必死だった。


    「篠田は高校の時全国大会までいってたくらいだからな。」


    「え〜そうなんですかぁ!すごーい!」


    なるほど、それであんな体格してるのか。

    途中亜紀が泳いでる俺に「直樹大丈夫?」と少し心配そうに聞いてきたが、俺はその度に「大丈夫だよ」と答えていた。

    実際泳いでいる最中は本当に何ともなくて、意外と体力残ってるじゃないか、と自分で思っていたくらい。(俺も小学生まではスイミングスクールに通っていたから泳ぎには少し自信があったし)

    でも、どうやらそれは過信だったみたいだ。

    よく海や川で遊んだ後に陸に上がると、急に身体が重く感じる事があると思う。

    浮遊力がある水中では筋肉の疲労に気付いていなかったりするんだよね。

    この時の俺はまさにそれだった。

    ただでさえ病み上がりなのに、俺は岩場に着くまでにその僅かな体力を使いきってしまっていたんだ。

    岩場に着いて、さあ上がろうと思ったら全然岩に登れない。

    水中ではまだ手足は動くのに、陸に上がろうとすると殆ど力が入らなくなってしまう。


    「おい直樹、どうしたんだ?早く来いよ。」


    亜紀や牧原達は先に軽々と岩に上ったのに、俺は同じようにできなかった。

    俺は重くなった腕と脚を必至に動かしてなんとか岩場に登ったものの、もうその時点でグッタリ……。

    重力が普段の何倍も重く感じる。

    ヤバいと思った。

    海から出たのに、頭の中が波みたいにゆらゆら揺れる。

    なんだか気分も悪くなってきて、吐き気がしてきた。


    「おい、大丈夫か?」


    「直樹どうしたの!?具合悪くなっちゃったの!?」


    青白い顔をしてグッタリする俺に皆が駆け寄ってくる。


    「ハァ…ハァ……ごめん、大丈夫じゃないかも……」



    13


    1時間後、俺はコテージのベッドの中に居た。


    「もぉ……やっぱりお医者さんが言ってた通りにまだ安静にしてなきゃいけなかったんだよ。」


    「……うん……ごめん。」


    まさかまた亜紀のこの表情を見る事になってしまうとは……。

    俺の事を心配しつつも、同時に凄くガッカリしてる表情。

    そりゃそうだよな。今日は最高の1日になるはずだったのに、海に入ってすぐにこれだもんな。


    俺は結局、あの岩場から亜紀が使ってた浮き輪に入れられ、牧原、篠田、坂本の3人に順番に引っ張ってもらいながらなんとか陸地に戻ってきた。
    (亜紀もそんなに泳ぎは得意ではないので、俺が入った浮き輪の後ろに掴まってた)

    つまり、俺はまたあの3人に助けられてしまったんだ。


    「でも私も悪いよね、直樹に泳がせちゃったんだし。無理させちゃったよね……。」


    「いやそんな事は……俺が悪いんだよ。」


    外の天気はあんなに晴れ渡っているのに、俺達2人の間の雰囲気はこれ以上ない程暗くなっていた。


    「また熱上がっちゃったね。」


    亜紀が俺の額に手を当てながら言った。

    体調はまた昨日の夜の状態に戻ってしまったような気がする。


    「おーい、氷買ってきたぞぉ!」


    そう大きな声で言いながら両手に買い物袋を持った牧原達が部屋に入ってきた。


    「わぁ、ありがとうございます。熱も上がってきちゃって、今丁度欲しかったんです。すみません、何から何まで……」


    「ハハッ、気にする事ないよ亜紀ちゃん。あとさ、飲み物も買ってきたから。」


    「ありがとうございます。あの……いくらくらい掛かりました?」


    「いいよいいよそんなの、大した事ないから。」


    亜紀はやたらと親切な牧原達に何度もお礼を言っていたが、俺はコイツらに対してそこまで感謝の気持ちは抱けなかった。

    助けてもらったのは事実だけど、そもそも牧原達があんな沖の岩場に行こうなんて言い出さなければここまで体調を崩すことはなかったんだ。

    それに牧原達の目は、なんだか倒れた俺の事を嘲笑っているようにも見えた。

    亜紀には分からなくても俺には分かるんだ。

    コイツらは口では親切ぶった事ばかり言っているけれど、本当は心の中では俺を馬鹿にしてるんだ。


    「まぁとにかく直樹はちゃんと寝て、しっかり風邪治せよ。俺達もそのためなら何でも協力するからさ、な?」


    「……。」


    俺は牧原に声を掛けられても不貞腐れたように布団の中に潜って黙り込んでいた。


    「それより亜紀ちゃん、俺達これから美味しいハンバーガ屋に昼飯食べに行こうかと思ってるんだけど、亜紀ちゃんも一緒にいかない?」


    「え、美味しいハンバーガー屋さんですかぁ。」


    「そうそう、その店のハンバーガーはここに来たら絶対食べといた方いいよ。直樹ももう寝てるみたいだし、亜紀ちゃんもここにずっと居てもつまんないでしょ?だから行こうよ、ね?」


    まだ寝てねぇよ。

    でも美味しいハンバーガー屋か、亜紀は行きたいだろうなぁ……

    亜紀、行っちゃうのかな……


    「でも……うーん……まだちょっと直樹が心配だから。もうちょっとここに居ようかな……。」


    亜紀……


    俺は亜紀のその優しさに感動すら覚えていた。

    こんな彼氏でも、まだそんなに心配してくれるなんて……


    「そっか、いやぁ亜紀ちゃんは優しいなぁ。分かった!じゃあ俺達が持ち帰りで買ってきてあげるよ!」


    「え、でもそこまでして貰ったらなんだか悪いような……さっきは直樹の飲み物や氷も買ってきてもらって、昨日も色々してもらったし……」


    「いいよいいよ、そんなの気にしないで。あそこのハンバーガー本当に美味しいからさ!亜紀ちゃんには絶対食べてもらいたいんだよ。」


    「そんなに美味しいんだぁ……じゃあ、お願いしようかな。あ、でもお金は払いますから。」


    「いいよそんなの、俺達が食べてもらいたいだけだし。ちょっと待っててよ、すぐ買って帰ってくるからさ!」


    そう言って牧原達は部屋を出て行った。

    しかしその後、2人だけになった静かな部屋で亜紀は俺がもう寝ていると思ったのか、口から小さな声でこう漏らした。


    「あ〜ぁ、もう……嫌になっちゃうなぁ……」


    重い言葉だった。

    胸にグサッときた。

    たぶん、俺が聞いていないと思って亜紀は本音を漏らしてしまったのだと思う。

    これだけ優しい亜紀でも、さすがにもう俺との付き合いに嫌気がさし始めているんだ。

    俺はショックで布団から顔を出すことすらできなかった。


    それからしばらくして牧原達が帰ってきた。


    「亜紀ちゃーん、買ってきたよ!」


    亜紀はそれまで考え込んだように何度も溜め息をついていたが、牧原達が帰ってくると明るい声で返事をして隣の部屋へ行ってしまった。


    「わぁこんなに沢山!」


    「いろんな種類あったからさ。ここで皆で食べようよ。」


    「すごーい、美味しそう!」


    「ハハッ、亜紀ちゃん好きなの食べていいよ。たぶんこの店のやつ全部美味しいから。」


    隣の部屋は昨日の夜よりも盛り上がっていて、亜紀も打って変わって楽しそうにしていた。

    ハンバーガーも好みに合っていたようで、何度も「美味しい〜!」という亜紀の声が聞こえていた。


    「そういえば亜紀ちゃん、午後からバナナボート行く?」


    「あ、そっかバナナボート……どうしようかな……」


    「行こうよ、せっかくだし。」


    「そうそう、俺達も亜紀ちゃんがいないと楽しくないしさ、行こうよ。」


    「う〜ん……でも……」


    「直樹はもうしばらく寝てるんだろ?折角ここまで来たのにコテージに籠りっぱなしじゃ勿体無いよ。」


    「う〜ん……そう…ですね。うん!じゃあ行こうかなっ!」


    「よし!決まりだな!」


    俺は独り布団の中からそんな亜紀達の会話を聞いて落ち込んでいた。

    俺はもうダメだ。ダメな男なんだ……。



    14


    俺は布団に潜ったまま1時間半くらいだろうか、いつの間にか眠っていて、起きた頃にはコテージから亜紀や牧原達は居なくなっていた。

    さっき言っていた通り、バナナボートに乗りに行ったんだろうな……。

    はぁ……。

    熱が出ていたせいか、汗がびっしょりだ。でもその分少し楽になったような気がする。

    俺はベッドから起き上がり、窓の外に目を向けた。

    まだ昼を少し過ぎた頃で、太陽は高く登っている。

    青い海と白い砂浜が眩しい。

    あの中で亜紀は牧原達と楽しく過ごしているのだろうか……。

    きっとそうだろうな。亜紀はあの3人と意気投合しているようだったし。


    でも、気になる……。


    ちょっと様子を見に行ってみようかな。少しだけだ。少しだけ亜紀の顔を見たらまた戻って来てこのベッドで安静にしていればいいさ。

    俺は飲み物で水分補給だけして、サンダルを履いて外へ出た。


    やっぱり、まだ少し頭がクラクラする。

    亜紀達はどこまで行ったんだろう。

    少しの距離を歩いて砂浜近くに出て来た俺は、木陰に座って亜紀達を探した。

    午前よりは少し人が増えているけれど、そこまで混雑はしていない。

    亜紀達は海に出てるのかな。


    ……あっ……いた……!


    俺からそれ程遠くない、表情まではっきり見える位置にビキニ姿の亜紀が歩いてきた。

    もちろん牧原達も一緒だ。

    4人共楽しそうに会話をしながら笑顔を見せていた。そこからは声も少し聞こえる。

    バナナボートはもう乗り終わったのだろう。坂本がビーチボールを持っていて、今度はそれで遊ぶつもりのようだ。

    そして4人は牧原と亜紀、篠田と坂本の2対2になって、そのボールでビーチバレーのような遊びを始めた。

    亜紀と牧原は相手の2人がミスをしてボールを落とすと、大喜びで仲良さげにハイタッチしていた。

    亜紀の笑顔が眩しい。


    「もぉ篠田さんずるーい!」


    「篠田と坂本はもう少し手加減しろよな。こっちは女の子いるんだぞ?」


    「ハハッ!手加減なんてしたら面白くないでしょ、こういう勝負は。」


    「ったく……よし亜紀ちゃん、作戦会議しよう。」


    「私絶対負けたくないです!パンケーキ食べたいし。」


    「ハハッ、亜紀ちゃんは食べ物の事になると目が変わるねぇ。」


    きっと負けた方がパンケーキ奢るって話にでもなっているんだろうな。


    ……亜紀……楽しそうだな……


    牧原達に対する嫉妬と、亜紀が遠い存在になってしまったような寂しさを感じながら、俺はしばらくその様子を眺めていた。

    俺は蚊帳の外だな。まぁそれも俺が全部悪いだけか……。


    「……。」


    ビーチバレーをする4人を見ていて気付いた事があった。

    それは牧原、篠田、坂本3人の亜紀を見る目だ。

    俺のいる所からは少し離れているからはっきりとは分からないけれど、3人はあからさまに亜紀の身体に視線を送っているように見えた。

    さっきまで海の中にいたからだろう、亜紀の水着は濡れていて肌に張り付いている。

    それが歩いたり走ったりする度にお尻の割れ目に少し食い込んでしまうようで、それを何度も水着と肌の間に指を入れて直す亜紀。

    きっと食い込んだ状態を近くで見ている牧原達には、亜紀の尻の形がはっきりと分かってしまっているだろう。


    下半身だけじゃない、牧原達の目は当然動く度に揺れる亜紀の豊満なバストにも向けられていた。

    俺が選んだ少し小さ目のビキニ、その生地からハミ出た横乳と綺麗な谷間が柔らかそうにポヨンポヨンと揺れている。

    こんな事になるなら、あんな水着を亜紀に勧めるんじゃなかった。

    普段の亜紀は、人の前で肌を露出するようなタイプじゃないんだ。

    この南の島で、俺だけがあの水着を着た亜紀を見るつもりだったのに。


    牧原達は亜紀が背中を向けてボールを取りに行っている時に手を動かして「オッパイすげぇ揺れてるな」「結構良いケツしてるよな?」みたいなジェスチャーをして笑っていた。

    3人は亜紀が気付かない所でそういう下品な事ばかりをしていたのだが、さすがに亜紀もその内にそれに気付いて
    「もぉ!ちょっとやだぁ何してるんですか!?」「どこ見てるんですかぁもぉ……。」
    みたいな反応を見せていたのだけれど、言葉とは裏腹にそれがあまり嫌そうじゃない。

    これはこの島に来てからずっとそうなのだが、亜紀は牧原達の前で一応恥ずかしがる素振りは見せるんだけど、なぜかそれ以上に嬉しそうにしているんだ。

    そして亜紀は、3人にそういう目で見られている事に気付いているにも関わらず、上からTシャツを着る訳でもなく、揺れる胸や水着が食い込むお尻を少し気にする程度で、そのまま遊び続けていた。

    やっぱり亜紀のような女の子でも海に来ると、気持ちが開放的になるのだろうか。

    ここまであからさまにエロい目線で見られているのだから、純粋に水着やスタイルを褒められて喜んでいるのとは何か違うような気がしてきた。

    今まで知らなかった亜紀の一面を見ているような気分。


    そして俺は、なんだかそんな光景を見るのが段々と辛くなってきて、独りコテージに戻った。



    15

    亜紀と牧原達がコテージに戻ってきたのは夕方になる少し前くらいだった。

    隣の部屋に入ってくるなり、相変わらず4人の楽しそうな会話と笑い声が聞こえてきた。


    「ていうか亜紀ちゃん全然焼けてないね、あんなに太陽の下にいたのに白いまんまじゃん。」


    「たっぷり日焼け止めクリーム塗りましたから。あ、でもやっぱりちょっと焼けてるかな。このくらい仕方ないけど。」


    「どれくらい焼けたかちょっと水着ズラして見せてみてよ。」


    「え〜ダメですよぉ、なんか目がイヤらしいですよ?フフッ、でも3人は結構焼けましたねぇ、篠田さんは特に。」


    「俺は元々黒いから。でも今日は確かに焼けたなぁ、ほら、水着穿いてる所とこんなに違うし。」


    「わぁ、本当ですね。でも男の人は焼けてた方が健康的で良いと思いますよ。」


    「亜紀ちゃんは?ちょっとだけ見せてよ、俺も見せたんだし。」


    「え〜……う〜ん……ハイ。」


    「おお!日焼け跡エロいじゃん!ていうか亜紀ちゃん本当に肌美白だね。じゃあさ、もうちょっと水着下げてみようか。」


    「え〜もうこれ以上はダメですよっ。」


    「いいじゃん、もうちょっとサービスしてよ。」


    「ダーメっ。あ、そうだ、私ちょっと直樹の様子見てきます。」


    牧原達にそう言った後、亜紀は俺が寝ている部屋へ入ってきた。

    この時の俺は当然、嫉妬で不機嫌になっていた。

    あ、そうだって……牧原達と遊ぶのに夢中で俺の事なんか忘れたみたいだな。

    どうせ亜紀は恋人としての義務感で俺の様子を見に来ただけなんだろうな。


    「直樹、身体の調子どう?良くなった?」


    俺は亜紀に声を掛けられても昨夜と同じく、また拗ねた子供のように寝たふりをしてみせた。

    幼稚な行為だと自覚しながらも、今の俺には嫉妬を隠すためにそれくらいの事しかできなかった。

    牧原達と楽しく過ごしてテンションの上がっている亜紀と今の俺では温度差があり過ぎる。

    そんな亜紀と会話なんてしたくなかったんだ。


    「直樹、寝てるの?」


    「……。」


    目を閉じた俺の顔を覗き込んだ後、亜紀は何も言わず部屋を出て行った。


    「寝ちゃってるみたいです。」


    「そっか、そのまま寝かせておいた方がいいよ。風邪治すには寝るのが一番なんだから。」


    「……そうですね。」


    「それより亜紀ちゃん、夜はどうする?食事とか直樹とどっか行く予定あったの?」


    そうだった。

    今日もレストランの予約はしてあるんだった。

    目の前でステーキを焼いてくれる店。

    お手頃な値段で美味しい肉を食べられるとの評判をネットで見て、亜紀と2人で決めたんだ。


    「あ、はい、一応……でもどうしようかな……直樹は消化の悪い物は食べられないだろうし。」


    確かに、胃腸風邪を引いているのに脂の乗ったステーキなんて食べたら消化不良を起こすだろうな。

    また店で倒れて亜紀や牧原達に迷惑をかけてしまうかもしれない。


    「じゃあさ、その店はキャンセルして亜紀ちゃん俺たちのコテージに来なよ。俺たち今日ケータリングサービス呼んでるからさ。一人前くらい言えば増やしてくれるし。」


    「ケータリング?え〜そんな事もできるんですねぇ、わぁいいなぁ。」


    「そうそう、料理人が1人だけ来てさ、前菜からデザートまで全部キッチンで作ってくれるんだよ。腕の良い人呼んでるからさ、きっと亜紀ちゃんも気に入るよ。」


    「なんだか贅沢ですねぇ、え〜どうしようかなぁ。」


    「折角なんだし、食べに来なよ。」


    「行きたいなぁ……」


    行きたいなぁ亜紀はハッキリとそう言った。本音を隠すことなく。

    そう言われたら、俺はもう止める事はできない。

    昨日も言ったように、亜紀にはこの旅行を楽しむ権利がある。旅費は半分出しているのだから。

    俺が行かないでくれなんて言えるはずもない。


    「じゃあ直樹に行っていいか聞いてみれば?」


    「そうですね、聞いてみます。」


    行ってしまえばいいじゃないか。

    俺の事なんて気にせずに。


    「直樹、ちょっといい?」


    再び部屋に入ってきた亜紀が、俺の肩をトントンと触って聞いてきた。

    俺は今目が覚めたように「ん〜?」と演技をして目を薄っすら開ける。


    「身体の調子どう?少しは良くなった?」


    「……少しはね……でもまだ寝てないとダメかな。たぶん明日の朝くらいまではちゃんと寝てないと。また悪化したら大変だし。」


    「そっか、うん、じゃあ寝てなきゃだね。……あの……それで今日の夜のレストランの事なんだけど、直樹お腹の調子まだ悪い?」


    「レストラン?あ〜そっか、ステーキだったっけ?さすがにまだ無理かな、ごめん。」


    「ううん、私は別にいいんだけど、じゃあキャンセルしちゃってもいい?」


    「うん、ごめん、頼むよ。」


    俺は亜紀が次に何を言い出すのか分かっていたから、会話はテンポ良く進んでいってしまう。


    「……そ、それでね直樹、牧原さん達が……」


    「行ってきなよ。」


    「え?」


    「俺はしばらく寝たいし、牧原達が亜紀をどこか食事に連れて行ってくれるなら、そうしてくれる方が俺も良いからさ。行ってきなよ。」


    俺は投げやりだった。

    どうせ亜紀は俺といるより牧原達とワイワイやってる方が楽しいんだろ?


    「……でも、いいの?」


    「いいよ。ていうかもう寝ていい?薬が効いてるみたいでさ、眠いんだよね。」


    「あ、ごめん……そっか、じゃあ、うん、行ってくるね。」


    亜紀は俺の機嫌が悪いのに気づいていたと思う。

    どうして怒ってるの?みたいな顔をしていたから。

    でも亜紀はその理由を聞くこともしないで、あっさりと部屋から出て行ってしまった。


    「どうだった?」


    「あの、直樹も行っても良いって言ってるので、いいですか?ご一緒させてもらっても。」


    「ハハッもちろんだよ!よ〜し!じゃあさっそく行こうか。」


    「牧原さん達のコテージってここから近いんですよね?」


    「近いよ、ほら、ここの窓からも見えるよ。あそこの白い建物だから。」


    「へぇ、こんなに近かったんですね。わぁ素敵な建物。」


    「ここから歩いて5分くらいかな。じゃあ亜紀ちゃん、早く準備しちゃいなよ。」


    「はい、ちょっとシャワー浴びて着替えてきますね。」


    亜紀はさっきの俺とのやり取りを全く気にしていないような様子で会話をしていて、着替えた後すぐに牧原達と行ってしまった。


    ……もう、俺たちは終わりだ。






    16



    俺は浅い眠りの中で夢を見ていた。

    きっと亜紀の事で投げやりになって、複雑な気持ちのまま眠りに入ったからだろう。

    それは過去の記憶を呼び覚ます夢だった。




    「直樹、これお前にやるよ。」


    「え?何これ?」


    「亜紀ちゃんが行きたがってたライブのチケット。2枚あるからさ。」


    「……なんで俺に?」


    「バーカ、亜紀ちゃん誘って2人で行って来いって意味だよ。」


    バイト上がりに友人に渡されたライブのチケット。

    この友人は俺が亜紀の事を好きだと知っていて、それをずっと応援してくれていたんだ。

    もしこの友人の助けがなかったら、俺は亜紀と付き合えなかったかもしれない。


    「お前もそろそろ決定打を打たないと、亜紀ちゃんを他の奴に取られちゃうぞ?だからそのライブで決めちゃえよ。折角最近良い雰囲気なんだかさ、お前ら。」


    「あ、ありがとう。」


    「言っとくけど、そのチケット手に入れるのすげぇ苦労したんだからな。俺がやったチャンス、無駄にするなよ。」


    その年に偶々来日する事になっていた、亜紀がファンだという海外アーティスト。

    滅多に来日しないアーティストで、しかも大規模なコンサートではないから席数が少なくてチケットを取るのは本当に大変だったらしい。何せ即日完売でファンである亜紀でも取れなかったくらいなのだから。

    でも友達想いのその友人は、俺達のためにそれを苦労して用意してくれたのだ。

    決定打と言うのは、つまり告白してこいって意味だ。

    チャンスをくれたのはありがたいけど、それなりにプレッシャーを感じた。

    何せ俺にとっては女の子をデートに誘うのも、この時が人生で初だったのだから。



    「えー!それ、チケット取れたの?直樹君が?すごーい!」


    「う、うん……まぁね。それで良かったらその……あの……俺と一緒に行かない?」


    「えっ、いいの!?私が一緒に行っても。」


    「うん。」


    「本当に?わぁ嬉しい!」


    亜紀は凄く喜んでくれて、俺の誘いにOKしてくれた。

    ありがとう、友よ。


    「でも知らなかったなぁ、直樹君もファンだったなんて。」


    「ま、まぁね。」


    「フフッ、私達趣味合うね。」


    実は俺はファンどころか、そのアーティストの事なんて殆ど知らなかった。

    でもなぜか俺は亜紀の前で見栄を張る癖があって、その時は咄嗟に嘘をついてしまったんだ。

    本当に、そんな嘘をついても何の意味もないんだけどな。でも趣味が合うね、なんて言われたのは嬉しかったし、もう後戻りできないと思った。

    だから俺はライブに行く前に何枚かアルバムを買って知識詰め込んで、無理やり亜紀との会話を合わせていた。

    「どの曲が好きなの?」とか聞かれると、俺はアルバムにあった曲名を適当に言って、亜紀が「あーあの曲良いよね、私も好き。」とかそんな会話。俺は完全に知ったかぶりなんだけど。

    とにかく、ライブに行くまでこの話題で亜紀との仲を深めたいと思っていたから。

    で、実際それから俺達の仲は急激に深まっていった。


    そして当日、俺達は駅で待ち合わせてライブ会場へ向かった。

    その日の亜紀の事を、俺は今でもはっきり覚えている。

    何と言っても、その日の亜紀は可愛かった。服装もいつもバイトに来る時とは違ってオシャレで、髪も少し編んでたりしてて。
    お人形さんみたいなんて言ったら変かもしれないけど、本当に可愛くて、俺はそんな亜紀を一目見ただけでズキュンとやられた。

    元々好きだったのにさらに惚れ込んでしまい、俺は電車に乗っている間も横にいる亜紀の事を何度もチラ見してしまった。

    で、その視線に亜紀が気付いて「ん?どうしたの?」「い、いや、何でもないよ。」みたいな事を何度か繰り返してた。

    俺、デートしてるんだよな、亜紀ちゃんと。夢みたいだな……。



    ライブは大盛り上がりだった。

    俺は正直、こういう音楽のライブ自体来るのは初めてだったので、若干雰囲気に入り込めなかった感じがしたし、少し浮いてたと思う。

    でも良いんだ。俺の知らない曲で周りが盛り上がっていても、俺は隣にいる亜紀を見ているだけで満足だったのだから。

    そして俺は、目をキラキラさせてステージを見ている亜紀の横顔を眺めながら改めて思った。

    俺はこの子が好きなんだ、と。

    そして俺は今日、この子に告白するんだ。

    結果なんてどうでもいいと言ったら嘘になるが、とにかく俺は亜紀にこの胸の内にある想いを伝えたかった。

    もうこれ以上、溢れそうな想いを内に秘めておく事なんてできなかったんだ。



    帰り道、俺達は2人でライブの話をしながらゆっくりと歩道を歩いていた。


    「ライブ良かったね。」


    「うん、大満足!直樹君、今日はありがとね、本当に楽しかった。」


    「俺も、楽しかったよ。やっぱりライブは良いね、家で聞くのとは大違い。なんていうか、身体全体に音が響いてきて一体感があるしさ。」


    俺がそう言うとなぜかクスっと笑う亜紀。


    「フフッ、本当に直樹君も楽しかった?」


    「え?本当だよ、楽しかったよ。」


    亜紀は急に立ち止まって俺の前に回り込むと、下から顔を覗き込むようにして同じ事を聞き直してきた。

    何かを疑ってるような表情。


    「ねぇ直樹君、1つ聞いていい?」


    「なに?」


    「直樹君って本当はファンでも何でもないんでしょ?」


    「え……そ、そんな事は……」


    「本当は曲なんて全然知らないし、殆ど聞いたこともなかったんじゃない?」


    「そんな事ないよ……俺は……」


    亜紀に図星を突かれて動揺した俺は言い訳をその場で考えたが、途中で諦めた。


    「……ごめん。」


    「やっぱそうだったんだ。じゃあ好きな曲とか言ってたの、全部嘘だったって事だよね?」


    少し怒ったような表情で言う亜紀。


    「……。」


    何も言い返せなかった。

    俺は亜紀に対して下らない嘘をつき続けていた自分が、ただただ恥ずかしかった。

    しかもそれが全部見抜かれていたなんて、間抜け過ぎる。

    知ったかぶりでライブの感想を語っていた時の勢いを失い、ショボンと下を向いてしまった俺。

    すると、なぜか亜紀がまたクスクスと笑い始めた。

    俺は亜紀がなぜ笑っているのか分からなかった。

    でも亜紀は笑いが止まらない様子で、腹を抱えている。


    「え……?どうしたの?なんか可笑しい?」


    「フフフッ、ううんごめん、そうじゃないの。なんだか直樹君らしいなぁって思って。」


    「俺らしい?嘘つきって事が?」


    「う〜ん…嘘つきだけど、その嘘がなんか可愛いなって。」


    「……可愛い?」


    「うん。」


    そう言って亜紀は歩道と車道の間の段に乗って、その上で両手を左右に広げてパランスを取るようにしてゆっくりと歩き始めた。


    「嘘なんてつく必要なかったのになぁ。私ね、嬉しかったんだよ、直樹君に誘われて。」


    「……え?」


    「ライブに行けるからじゃないよ?本当は行き先なんてどこでも良かったの、直樹君と2人で行けるなら。」


    そして亜紀は再び立ち止って、俺の方に振り返った。


    「だからね、嘘なんてつく必要なかったんだよ?」


    この時の俺は、どんな顔をしていたんだろう。

    とにかく、振り返った亜紀の顔を見た瞬間から、俺の胸は張り裂けそうな程ドキドキと高鳴っていたんだ。

    そして俺はこの言葉を言いたくなって、我慢できなくなった。


    「あ、亜紀ちゃん……俺……」


    そこまで言って、そこから先がなかなか喉から出てこなかった。

    でも俺は言ったんだ。


    「俺……亜紀ちゃんの事が、好きだ。」


    その時、俺達の周りには誰もいなくて、辺りは静まり返っていた。

    あまりに静かだったから、なんだかその瞬間だけ時が止まったかのようだった。


    「だから……もし良かったら、俺と付き合ってください。」


    さっきまで笑っていた亜紀だったけれど、俺がそう告白すると下を向いて黙り込んでしまった。

    たぶん5秒か、10秒くらいそうしていたと思う。

    告白されて困っているんだろうな……どうやって断ろうか悩んでいるんだろうなと、俺は思った。

    しかし沈黙の後に亜紀が口を開いて言った言葉は、俺と同じものだった。


    「私も……直樹君の事が好き。」


    顔を上げた亜紀の表情は、笑顔だった。


    「だから……よろしくお願いします。」


    信じられなかった。

    亜紀の返事に俺は驚いてしまって、これが夢なのか現実なのかも分からなくなって、もう一度聞き返してしまう。


    「ほ、本当に?」


    「フフッ本当だよ、私は嘘つきじゃないもん。直樹君の方こそ私の事本当に好きなの?」


    悪戯っぽく笑いながらそう言ってきた亜紀。

    俺はもう、嬉しいのと、その亜紀の笑顔が堪らなく愛おしくなって、思わず亜紀の身体を抱きしめた。


    「キャッ」


    「あっ、ごめん、痛かった?」


    「ううん、ちょっとビックリしただけ。そのままにして……私、男の人にこんな風に抱きしめられるの初めて。」


    「俺も、初めて。」


    「そうなんだ。私達、初々しいね。」


    「うん。」


    「でもなんか、いいねこういうの。なんていうか、凄く安心する。」


    そう言って亜紀は俺の胸に顔を埋めた。

    たぶん10分か15分くらいずっと抱きしめていたと思う。

    それから、俺達は今度は手を繋ぎながら歩き始めた。


    「あ〜なんか信じられないなぁ、俺が亜紀ちゃんの彼氏になれるなんて。」


    「私も、直樹君の彼女なんて、夢みたい。」


    「俺が今日凄く緊張してたの分かった?」


    「うん、でも私だって緊張してたんだからね?好きな人とデートなんて初めてだったし。この洋服選ぶのだって凄い時間掛かったんだから。」


    「そうだったんだ、俺はもうなんかいっぱいいっぱいで……。」


    「フフッ、あのグループの事全然知らないのに話合わせるので大変だった?」


    「ハハッまぁそうかもね。ていうかいつ分かったの?俺の嘘。」


    「うーん前々から不自然な感じはしてたんだけど、ライブの時の直樹君、全然ステージの方見てなかったから、それであ〜興味ないんだなぁって。」


    「じゃあ気付いてたの?俺がどこ見てたか。」


    「……うん、気付いてたよ。私、直樹君の視線が気になってライブ集中して見れなかったもん。」


    「そ、そっか、ごめん。じゃあまた来日したらもう一度2人でライブ見に行こうか?」


    「ん〜次はいつ来日してくれるか分からないよ。もう来ないかもしれないし。」


    「そうなんだ……じゃあどうしよう、何かで穴埋めできる?今日の分。」


    「フフッ、穴埋めだなんていいよ。今日は楽しかったし、今はこうやって直樹君と一緒にいるし。それに私本当にどこだって良いんだよ?直樹君と一緒なら、どこに行くのだってライブより楽しいと思う。」


    「亜紀ちゃん……お、俺も亜紀ちゃんと一緒なら、楽しいと思う。」


    「フフッ、ねぇ直樹君、私の事ちゃん付けじゃなくて、亜紀って呼んでほしいなぁ。」


    「亜紀?」


    「うん、その方がなんか、直樹君の彼女になったって感じがするし。」


    「じゃあ俺の事も直樹って呼んでよ。」


    「うん、直樹……わぁ、なんかちょっと恥ずかしいかも。」


    「まだ慣れないね。でもなんか良いね、亜紀の彼氏になれた感じがする。」


    「うん。あ〜なんか幸せ。恋人がいるってこんな感じなんだ。」


    俺達はその夜、そんな浮かれた会話をずっとしながら夜の長い時間を歩いた。

    そして「ずっとこのまま手を繋いでいたいね」と、2人で言っていたんだ。

    そう、ずっと2人で一緒にいようね、と。

    ずっと一緒に。






    17

    ハッとして俺はベッドから起き上がった。


    ここは……コテージで……亜紀は?……そうだ、亜紀は牧原達と……


    過去の夢から目覚めて、今亜紀が置かれている状況を思い出した瞬間に、俺は途轍もなく不安になった。


    亜紀……っ!


    そして俺は寝ていた格好のまま、慌ててコテージから飛び出した。

    俺はこれからもずっと亜紀と一緒に居たいんだ。

    亜紀を……亜紀を失いたくない!

    俺は走った。


    「ハァ……ハァ……亜紀……」


    外は既に日が落ちて暗くなっていた。

    時計を見ていないから分からないが、俺はかなりの時間を寝てしまっていたらしい。

    俺は必死になって牧原達のコテージを探した。

    確か近くにある白い建物だと言っていたはず。

    すると数分ですぐに白くて小洒落た建物を見つけた。


    ここなのか……?


    しかし勢いよく来たものの、ここからどうすればいいんだ?

    普通に亜紀を呼び出して連れて帰ればいいだけか……。

    それで良いんだよな?俺は彼氏なんだし。

    俺は建物のドアの前で少しの間考えていた。

    すると中から声が聞こえてきた。

    牧原達の声だ。

    やっぱりここだったんだな。

    よく耳を澄ますと、亜紀の声も聞こえる。


    「え〜ちょ、ちょっと、なんで脱いでるんですか?服着てくださいよぉ。」


    「だって暑くない?いいじゃん別に、さっきまで水着で遊んでたんだし。亜紀ちゃんも脱げば?この方が涼しくて気持ち良いよ?」


    4人で何をしているんだ?

    中の様子が気になった。


    窓から少し、覗いてみようかな……。


    きっと俺は、昼間あまりに楽しそうに牧原達と接していた亜紀の姿が心に引っ掛かっていたのだと思う。

    どうしてすぐに亜紀を呼び出さないんだ?と自分自身に問いかけながらも、俺はいつの間にかドアの前から移動して、建物の裏に回り込んでいた。

    まるで泥棒みたいに。

    俺の行動は、常軌を逸していたかもしれない。

    でも俺は気になったんだ。

    今、亜紀が牧原達の前でどんな表情をしているのか。

    俺は何かを確かめようとしていたんだと思う。

    亜紀とこれからもずっと一緒にいたい。それは俺の中にある確かな気持ちだ。

    でも、亜紀はどうなんだろう。

    亜紀はまだ俺の事を好きでいてくれるのだろうか。

    留年して、旅行先でも情けない事ばかりやって、だからやっぱりもう俺に呆れて他の男の所に行きたがっているんじゃ……。

    そう考えると怖かった。

    でも、だからこそ亜紀の本心をこっそり覗いてみたかった。

    こんなコソコソせずに、男らしく今すぐ亜紀を呼び出して本人に率直に聞けばいいのに、それができないのはきっと俺の弱さなんだと思う。


    俺は建物の裏に来て驚いた。

    正面から見た時もコテージにしては大きな建物だなと思っていたのが、裏から見たらさらに凄い。

    裏には大きな庭もあって、しかもプールまで付いている。

    学生が泊まるにしてはどう考えても豪華過ぎる。

    牧原の事は高校が同じだからある程度知っているが、もしかして篠田か坂本のどちらかが金持ちなのかもしれない。

    部屋もいくつかあるみたいだし、こんな大きな建物を3人で貸し切っているのか。

    俺達がいたコテージとは大違いだ。


    裏には小さな窓や大きな窓がいくつかあって、その窓から部屋の明かりが漏れていた。

    どうやらカーテンもせず、窓も風を通すために開けているみたいだ。裏に来たら牧原達と亜紀の声がさらにはっきり聞こえるようになった。

    今、俺のすぐ近くにその内の1つの窓がある。おそらくその向こうに亜紀達はいるだろう。


    「私は無理ですよぉ、だって私着てるのこれ一枚だけだし……」


    「その中は下着だけ?」


    「はい……。」


    「でもぶっちゃけ下着も水着もそんな変わらないでしょ?」


    「ん〜でもさすがにそれは……」


    亜紀と、これは篠田の声か。

    何してるんだよ、いったい。

    亜紀達の会話の内容を気にしつつ、俺は体勢を低くして音を立てないように窓へ近づき、こっそりと部屋の中を覗いた。



    18

    部屋の中にはやはり亜紀、牧原、篠田、坂本の4人がいた。

    涼しげな白のワンピースを着ている亜紀がソファの真ん中に座っていて、その周りに3人が座っている。

    そしてなぜか篠田だけが上半身裸の姿。(さっき言ってた通り、暑くて脱いだのだろう)

    亜紀はその横で少し恥ずかしげに笑顔を見せていた。

    ケータリングサービスで呼ぶと言っていた料理人の姿は見えないから、もう帰ったみたいだ。

    もう食事は殆ど終わったのだろう、前に置いてある低いテーブルの上にはデザートの皿が数枚とワインやシャンパンのビンとグラスが置いてあった。

    どうやら4人はすでにアルコールをかなり摂取しているらしい。

    何本か置いてある酒のビンは、その殆どが空になっているように見えた。

    亜紀も結構飲んだのだろう、頬がほんのりピンク色に染まっている。


    「亜紀ちゃん料理どうだった?気に入ってくれた?」


    「もう本当に美味しかったです!お酒もお料理も。」


    「亜紀ちゃん結構飲んでるよね、酒強いの?」


    「うーん、そんな事ないんですけど、今日はどれも美味しくて、飲めちゃいますね。」


    「そっか、じゃあ遠慮せずにもっと飲んでいいよ。まだ酒なら沢山あるし。」


    「でもなんか、こんな贅沢していいのかなぁって思っちゃいます。このコテージも凄く素敵だし。私なんかがここでこんな贅沢してたらバチが当たりそうで。」


    「ハハッそんなの気にしなくていいのに。折角ここまで来たんだから楽しまなきゃ。ほら飲んで飲んで。」


    亜紀の隣に座っていた牧原は、そう言ってグラスにたっぷりと白ワインを注いで亜紀に渡した。


    「あ、ありがとうございます。」


    それを亜紀は嬉しそうに口に含む。


    「わぁ、これも美味しいなぁ。気をつけないと飲み過ぎちゃいそう。」


    「良いんだよ、今夜はとことん酔っぱらっても、亜紀ちゃんは俺達が介抱してあげるからさ。」


    「いえそんな、ここまでしてもらってるのに、その上ご迷惑なんて掛けられないです。」


    表情を見れば、今の亜紀がかなり上機嫌である事はすぐに分かった。

    贅沢三昧の時間を満喫して、それに酔いしれているような。別の言い方をすれば浮かれているような表情をしている。

    アルコールが入っているのもあるのだろうが、こんなに無防備になっている亜紀は久しぶりに見た気がする。


    「ふぅ、なんだか身体が熱くなってきちゃった、やっぱり飲み過ぎかな。今までこんなに飲んだことないし……もうそろそろ止めとかないと。」


    アルコールで体温が上がっているのだろう、亜紀はそう言いながら手をパタパタと動かして顔を扇いだ。

    するとそれを見て、上半身裸の篠田が再び亜紀にこう言った。


    「亜紀ちゃんは本当に脱がなくていいの?暑かったら脱いじゃいなよ。」


    亜紀が人前で下着姿になる訳がないだろ。さっきからなに言ってるんだ、この篠田とか言う奴。

    俺は亜紀にセクハラっぽい事ばかり言っている篠田を窓の外から睨んだ。


    「い、いいです。私はこのままで。このワンピース、十分薄着ですし。」


    「そう?じゃあ亜紀ちゃんが脱がないなら俺がもっと脱いじゃおうかなぁ。」


    篠田はそう言うと、今度は下のハーフパンツまで脱ぎ始めた。


    「キャッ!もう篠田さんちょっとぉ……」


    パンツ1枚だけの姿になった篠田を見て、咄嗟に手で目を覆う亜紀。


    「ハハッ、篠田は露出狂だからなぁ。すぐ脱ぐ癖があるんだよ。」


    「おい篠田、お前なんだよそのパンツ、どういう趣味してんだよ。ハハハッ!AV男優みたいじゃん。」


    そう言って恥ずかしがっている亜紀の横でガハハッ!と笑う牧原と坂本。

    俺も篠田のパンツ姿を見て驚いた。

    なんて卑猥なパンツ穿いてるんだよ。

    篠田が穿いていたのは男性用ビキニタイプのパンツだった。

    色は黒で、生地が小さいから股間の膨らみがやたらと強調されている。

    俺だって、あんなの穿いてる奴AVでしか見た事がない。


    「ほら亜紀ちゃん、ちゃんと見てやってよ。亜紀ちゃんに見られると篠田喜ぶからさ。」


    「えっ?えっ?私はいいですいいですっ。」


    「いいからいいから。」


    恥ずかしがる亜紀の手を掴んで、無理やり顔を篠田の方に向かせようとする牧原と坂本。


    「ほらあきちゃん!ちゃんと目開いて。」


    「え〜もぉ恥ずかしいですぅ……」


    と言いながらも、顔を前に向かされた亜紀の目は篠田の身体をしっかり見ていた。


    「どう?亜紀ちゃん、篠田の鍛え上げられた肉体とあのパンツのセンスは。」


    「亜紀ちゃん感想聞かせてよ。」


    「え〜……なんか……イヤらしいです……」


    恥ずかしそうに小さな声でそう言った亜紀。

    でも目線は篠田の方から離れてない。


    「亜紀ちゃんって昨日筋肉フェチとか言ってなかったっけ?」


    「別にそういう訳じゃ……」


    「でも嫌いじゃないでしょ?そういう男の筋肉とか。」


    「おい篠田、ちょっと亜紀ちゃんに腹筋触らせてあげろよ。」


    「いいよぉ!亜紀ちゃんなら俺の身体のどこ触ってもらってもOKだよ!」


    そう言ってニヤニヤ笑みを浮かべた篠田が亜紀の目の前まで近づく。


    「え〜いいですよそんな……わっわっ、近い近い。」


    「ほら亜紀ちゃん、遠慮しないで触ってみなよ。手伸ばしてさ。」


    牧原と坂本がまた無理やり亜紀の手を掴んで篠田の腹筋を触らせる。


    「どう亜紀ちゃん?」


    掴んだ亜紀の手をなでなでさせるように動かす牧原。


    「え〜……わぁ、硬い……」


    亜紀はさっきまであれだけ拒否反応を見せて恥ずかしがっていたのに、なぜか篠田の腹筋を触ってからは嬉しそうにしていた。

    手も牧原達に無理やり触らされていたのは最初だけで、後は自分から動かしてその感触を確かめているように触っていた。


    「なんかボコボコしてる……凄いですね……」


    「いやぁ亜紀ちゃんに褒められると嬉しいなぁ。」


    「毎日トレーニングしてるんですか?」


    「まぁね。」


    興味深そうに質問する亜紀。

    するとそんな亜紀を上から見下ろしていた、篠田がまた突然とんでもない事を言い出した。


    「あれっ!?ちょっと亜紀ちゃん!なんで俺の股間凝視してんの!?うわぁセクハラだよこれ!」


    と、オーバーリアクションでそう言い出した篠田。わざとらしい。

    亜紀は驚いて顔を赤くしながらすぐにそれを否定する。


    「えっ!?見てないですよぉ!そんな場所見てないです見てないです!」


    亜紀はそう言って慌てて手を引っ込めて篠田から距離をとった。

    そして案の定、牧原と坂本がそれを茶化す。


    「ハハッなんだよ亜紀ちゃん。大人しそうな顔してるのに意外と男のチンポ好きなんだね?」


    「もぉ〜そんなんじゃないですよぉ、見てないですし。もぉ、篠田さんってやっぱりイヤらしいです。」


    俺は下ネタで牧原達にからかわれる亜紀をじっと外から眺めていた。

    俺は正直、今まで亜紀とそういう会話をあまりした事がなかったし、亜紀が誰かとそういう卑猥な話をしている所も見たこともなかった。

    だから俺は余計に、そんな亜紀から目が離せなくなっていったんだ。


     

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